より良いサービスが提供できる未来への一歩 ー金融機関とのAPI連携への取り組みー

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広報の小山です。

先日、以下のプレスリリースを発表しました。
金融機関とのAPI契約について 口座連携機能の対象金融機関と契約を完了

弥生が金融機関とのAPI連携を進めてきた背景、これまでの取り組み、API連携の先の未来についてお話します。

背景

弥生会計ラインアップでは、銀行明細やクレジットカード、電子マネーなどの取引データを、連携サービスから取り込み、仕訳データに自動で変換する「スマート取引取込」があります。
2014年7月からサービスを開始し、その後2015年12月からは他社サービスを介さずに直接金融機関のデータを自動取込・自動仕訳する機能を追加し、さらに利便性が向上しました。

これまで「スマート取引取込」で口座連携機能をご利用いただく際、IDやパスワードを用いてネットバンキングサイトにアクセスしていただき、そこから情報を抽出するスクレイピングという方法でお客さまの口座情報をアプリケーションに取り込んでいました。お客さまの同意を得たうえでの操作ではあるものの、金融機関のシステムにログインしてデータを取得していましたが、情報の正確性や安全性に課題もありました。

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そんな中、2017年5月26日に改正銀行法が成立されました。この法律により、電子決済等代行業者の登録制が導入され、金融機関に対しオープンAPIに係る体制整備の努力義務が課されました。

APIとはアプリケーション・プログラミング・インターフェースの略で、アプリケーションの機能や管理するデータなどを他のアプリケーションから呼び出して利用するための接続仕様・仕組みです。それを他の企業などに公開することを「オープンAPI」と呼びます。
オープンAPIによるデータ連携では、ログインIDやパスワードを弥生などサービス提供事業者に預けることなく、お客さま自身が銀行のシステムを通して、利用したいサービスに対してデータ連携に関する許可を与えます。そのため、都度入力も不要になり、これまで以上に効率の良い会計業務を行うことが可能になります。

API連携への取り組み

改正銀行法を受けて、弥生では金融機関とのAPI連携を進めてきました。

2018年3月30日に住信SBIネット銀行とのAPI連携を皮切りに、2018年12月に電子決済等代行業者としての登録を完了、その後各金融機関とAPI連携を実施してまいりました。

これまで接点があまりなかった金融機関とコミュニケーションを取りAPI連携を進めることは、かんたんなことではありませんでした。

業界の文化が異なる者同士の交渉となるので、金融機関の事情(利用しているシステムも様々、行内方針)と弥生の事情との落としどころを探す必要がありました。
さらに業務内容は、金融機関との契約交渉や契約手続きから、API開発管理、サービスリリース業務、お客さまへの周知・啓蒙活動と多岐に渡りました。

複数行と協議は進めていたものの、当初の契約締結期限(2020年5月)間近である2020年2月時点では、API接続完了が6行、契約完了が11行しかありませんでした。
そのため、社内の事務局の体制強化を決断しました。
業務を整理し、交渉・推進役を担うフロントチームと管理・手続きを担う後方支援チームで役割を分けそれぞれの役割に集中できるように人員配置を設計、さらにメンバーのタスク管理を見直しました。期限に追われながらの業務であり、メール・電話などが大量であるため、作業抜け漏れ、ミス防止を徹底しました。
金融機関の関係者様のご協力もあり、2020年9月末時点※1で、138の金融機関と契約することができました。
弥生の口座連携機能をご利用いただいているお客さまの口座の90%以上がすでにAPI連携に切り替わっています。

100行以上の金融機関と急ピッチで交渉を進めるなかでも、弥生が大切にした点が2つあります。

    • お客さまへの業務影響を最小にする
      お客さまの業務を極力止めないこと、これは、コロナ禍で弥生のカスタマーセンターが稼働率を下げながらも閉鎖しなかった理由でもあります(従業員と家族の健康の健康を守るため、感染症対策は万全にしています)。お客さまが本業をする上でバックオフィス業務は必要なもの。そのお客さまの業務を支えるのが弥生の使命だと考えています。弥生は、事業者の皆さまの業務を支えるインフラであると自負しているので、業務を極力止めないことが最優先事項になっています。
    • お客さまへの負担を最小にする
      契約締結に伴って各銀行に対しAPI使用料を支払うことになり、弥生の金銭的な負担は決して軽いものではありません。その金額の一部をサービス料金に転嫁することも考えられますが、弥生はその判断をしていません。お客さまの負担は最小限に、よりよりサービスを提供したいと考えています。

今後もこの2点を大切にしながら、まだAPI連携が完了していない金融機関との連携を進めていきます。

※1 4月の新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言等を受けて、5月末日までに契約を締結する意向を示していた場合には、契約締結期限が当初の5月末日から9月末日に延長されました。https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/press_20200414.html
※2 API契約締結済みの金融機関について最新情報はこちらをご確認ください。

API連携の先の未来

金融機関とのAPI契約は、法令対応という側面が大きかったですが、API連携の先にはお客さまへよりよいサービスが提供できる未来があると考えています。
弥生は会計ソフトの会社にとどまらず、「事業コンシェルジュ」をビジョンとして掲げています。そのため、お客さまの事業活動のステージごとに必要とするサービスを企画し、提供したいと考えています。

例えば、事業が大きくなり、資金調達が必要になった場合に弥生がお客さまのお力になりたいと考えています。金融機関とパートナーシップを構築し、「弥生会計」のデータをもとにAIで即日融資が可能なALTOAの仕組みを金融機関を通して提供する、そうすればお客さまはより便利に融資を受けることができるのではないでしょうか。その他にも、お客さまにとって身近で頼りになる存在である金融機関とパートナーになれば、お客さまの事業活動のステージごとに必要とするサービスをご提供できるのではないか、金融機関とともに検討を始めています。

お客さまのバックオフィス業務の負担をなくし本業に集中してもらいたい、夢の実現のために時間を使っていただきたい、それが弥生の思いです。
API連携はそんな未来の実現のための、一歩だと考えています。

社長ブログでも「API契約完了」が公開中です。そちらもぜひご覧ください